もしまだ映画「風立ちぬ」を観てなかったら
映画を楽しむヒントになるかもしれません。
風立ちぬのベースは
堀越二郎という、実在した零戦設計者が主人公になっていますが
映画の中での堀越二郎と菜穂子の恋愛は
堀辰雄と婚約者のれんあいをドッキングさせているんですね。
なので
風立ちぬのポスターに
「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて。」とありますが
これは堀越二郎と堀辰雄両氏の人生の体験をドッキングさせてできあがった
映画だからなんですね。
宮崎駿監督が
風立ちぬ製作にあたって参考にしたというのが
以下の2冊。
１．堀越二郎著「零戦」
第二次世界大戦の主力戦闘機だった零戦を設計した堀越二郎さんが
設計から完成までの過程を綴った記録。
２．堀辰雄著「風立ちぬ」
肺結核を患っている婚約者「節子」と
節子を見守りながら小説家として活動を続ける「私」の自叙伝的小説。
物語に登場する節子は、実際に堀辰雄の婚約者の名前で
婚約者に対する愛、サナトリウムの生活、それから死を
繊細に描写した、名作です。
風立ちぬでは
ヒロインは菜穂子さんとなってますが
この名前は堀辰雄の小説「菜穂子」から名付けられたと言われています。
堀越二郎と堀辰雄の
激動の時代を生きたそれぞれの人生について知っておくと
映画にたいしてより理解が深まりそうですね。
宮崎駿監督と風立ちぬ
宮崎駿監督は、初めは風立ちぬ製作に
あまり乗り気じゃなかったそうです。
というのも、風立ちぬは
二郎と菜穂子の恋物語ということで
決して子供向けではなく
しかも戦争という重いテーマで
従来のジブリ作品のように楽しいというわけではなかったからということ。
ですが
ジブリ鈴木敏久プロデューサーが、監督を根気強く説得したそうです。
「宮さんが子どもの頃は戦争の時代で、戦闘機の絵ばかり描いていた。そ
のまま戦闘機が好きな大人になるわけですが、思想的には戦争が大嫌いで反戦デモにも参加する。
そんな矛盾の中を生きた人なんです。だから、なんで自分みたいな人間ができちゃったんだろう？
という問いに対する答えを、映画で明らかにすべきじゃないかと思った…」（
引用）
そうでした
宮崎駿監督は戦闘機に造詣が深かったんですよね。
そのくせ戦争を嫌う、平和主義者でも有りました。
確かに矛盾していますし
自分の作った飛行機が戦闘機に…
という二郎の立場と少しかぶるような気がするので
その疑問に答えを出すにはちょうどいい題材ですよね。
監督はどんな答えを見つけたんだろう
と思いながら映画を見ると、また違った感想が出てくるかも。
加えて
宮崎監督の戦闘機への知識をいかしてますから
風立ちぬは、堀越二郎や堀辰雄の他にも
宮崎監督自身の人生も溶け込んでいますよね。
う～ん、風立ちぬはとても奥の深い映画です。
何度観ても毎回感想が変わってきそうな気がします！
